執筆者
社会保険労務士法人スマイング
コンサルティンググループ マネージャー 薄田 順矢 が執筆しました。
数百名規模のIT企業から人事表制度のご相談があった事例になります。その企業の場合、評価の仕組みのようなものはあるようでしたが、きちんとした人事評価制度が導入されていないため、管理部門の担当者等は課題に感じているものの、代表取締役が人事評価制度の導入には前向きな意向がないという状況でした。
過去のサポート事例を思い返すと、人事評価制度の内容に経営者の意向を反映しなかった企業が2社ありました。
1社目は約100名の受託開発の企業です。代表取締役が長期入院することになってしまい、今まで代表取締役の独断で判断していた昇給や昇格、評価方法について取締役の方と過去のデータなどから紐解いて、それらをベースに制度化したというケースになります。
2社目は約200名の受託開発の企業です。創業当初から代表取締役が全従業員と個人面談を行い、各人の査定を行なってきたらしく、代表取締役が一人ひとりと個別の面談で向き合うため、従業員の査定に対する満足度は高い状況のようでした。ただ、全従業員の査定完了までに数ヶ月かかっていまうことと、世代交代した際にはどう査定していくのかについて不安に思っている状況でした。そのため、後継者候補となる取締役や幹部社員と話し合って、新たな仕組みを検討し制度化したというケースになります。
経営省の意向を反映しないまま制度化を進めるケースは、各社の事情によって他のパターンもあるかもしれません。制度を策定しても導入する直前に、意図しなかった反対があり結局導入できなかったということをお聞きすることもあります。
人事評価制度の導入に前向きではない意思決定者がいる場合は、従業員のヒアリングなどを行い、現状の課題や人事評価制度が導入されていないことによる弊害などを分析して提案してみる方法も考えられます。