執筆者

社会保険労務士法人スマイング 
コンサルティンググループ マネージャー 薄田 順矢 が執筆しました。

28120355_sIT業界は、専門業務型裁量労働制の採用率が全企業の平均の10倍近くになっておりますので、法改正対応が必要な企業も多いのではないでしょうか。

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令和6年4月より専門業務型裁量労働制は法改正が予定されておりますが

令和5年11月6日に「令和5年改正労働基準法施行規則等に係る裁量労働制に関するQ&A(追補版)」が出されています。

Q&A 1-6によれば、労使協定の有効期間ごとに、労働者の同意が必要とされていす。専門業務型裁量労働制の有効期間は3年以内とされていますが、これまで36協定の締結と併せて専門業務型裁量労働制も年1回の労使協定の締結をしていた企業もありますが、今後は最長の3年に変更する企業も増える可能性も想定されました。

また、人事評価制度のご支援を行う際に、システムエンジニアなどの職種の一定の等級以上には専門業務型裁量労働制の適用が前提するような制度設計もあります。

専門業務型裁量労働制を適用する場合、今回の法改正で同意が必要となりますが、これまで専門業務型裁量労働制を適用していた者が同意をしなかったことにより、等級を下げることは不利益な扱いに該当するのかといったご相談もありました。

ご参考までに、Q&A 2-4によれば、以下のように示されております。

(Q)令和6年3月31日まで専門型を適用していたが、令和6年4月1日以降労働者の同意を取得できず制度が適用されないこととなった場合に、裁量労働制非適用労働者の等級が適用労働者のものより低いために、基本給額や手当額が従前よりも下がる場合や、適用労働者のみ支給対象の手当が支給されなくなる場合、これらは同意をしなかったことによる不利益な取扱いに当たるか。

(A)令和6年4月1日より前に、あらかじめ労働契約(個別の労働契約や就業規則等)の内容として、適用労働者と非適用労働者の等級とそれに基づく賃金額や、適用労働者のみ支給対象の手当が定められている場合には、同意をしなかった場合の労働条件は当該労働契約の内容に基づき決定されるものであるから、その内容が明らかに合理性のないものでない限り、同意をしなかったことを理由とする不利益取扱いには当たらない。

また、同意した場合に適用される賃金・評価制度の内容、同意をしなかった場合の配置および処遇などの内容を明示して説明した上で、労働者本人の同意を得ることが適切とさています。

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