執筆者
社会保険労務士法人スマイング
コンサルティンググループ マネージャー 薄田 順矢 が執筆しました。
ITキャリア支援事業を手掛けるキッカケクリエイション社は、「ITエンジニア業界の現状」に関する調査を実施したところ、システム開発において「短納期や低予算の下請け案件が多い」と答えたIT企業経営層は、約7割いることがわかりました。
「多重下請け構造脱却に何が必要だと思うか」を尋ねたところ、「スキルの高い人材の確保」(59.8%)が最も多く、順に「営業力の強化」(47.3%)、「社内のITエンジニアへの教育」(39.7%)となります。
「多重下請け構造脱却のために行っていること」については、「スキルの高い人材の確保」(36.1%)が最も多く、順に「ITエンジニアへの教育」(34.8%)、「営業力の強化」(29.9%)となっており、いずれの取り組みも3割~4割弱程度にとどまり、必要とされる施策に手を付けられない現状が浮き彫りとなっています
「スキルの高い人材の確保」をしているとした回答者に「スキルの高い人材の確保を行う上での課題」を尋ねたところ、「スキルの高い人材が少ない」(49.3%)が最も多く、「転職サービス活用における人材・時間的リソースがない」(33.3%)、「企業のダイレクト採用における人材・金銭的投資」(24.6%)と続いていています。
「どのようなスキルを求めているか」については、「基本設計力」(62.9%)が最も多く、「要件定義力」(58.0%)、「実装力」(41.9%)となり、これらのスキルに加え、現場での経験や自主的に学習をする人材を求めているようです。
社内のITエンジニアへの教育をできていない経営層に「教育を行っていない理由」を尋ねたところ、「教育で賄いきれないと感じている」(34.2%)が最も多く、スキルの高い人材を確保する必要性が、より一層高まっている結果となっている。
今回の結果から同社は「市場価値を高めるための継続的な学習や、長期的な視野でのキャリア形成が重要だ。また、そうした視点を持つITエンジニアを採用することで、企業側も多重下請け構造からの脱却を目指せると考えられる」とコメントしています。
採用・育成・評価はリンクしますので、スキルの高い人材や教育に関して、人事評価制度を見直すことも一考です。