執筆者
社会保険労務士法人スマイング
コンサルティンググループ マネージャー 薄田 順矢 が執筆しました。
人事評価制度の策定のご支援中のIT企業での相談事例になります。
評価制度の検討を行うにあたり、評価スケジュールを上期(4月~10月)と下期(10月~翌月)の年間で2回を行い、給与改定や昇格・降格の査定は年1回4月に行う方向で検討していました。
評価は年4回・査定は年2回、評価も査定も年2回、評価も査定も年1回など、企業の目的やフェーズによって評価のスケジュールは様々あります。
昇給・昇格のスピード感をアップさせたいスタートアップ企業の評価回数は多い傾向があり、従業員数が増えてくると評価者の負担が増えますので、検討中の企業のように評価は年2回・査定は年1回や評価も査定も年1回の企業が多い傾向があるように見受けられます。
評価対象者が少なければ評価回数が多くとも評価者にそこまで運用負荷ないと考えられますが、評価者対象者も多く年4回も評価があると、評価者も被評価者も評価の資料作りに追われ、評価をするために仕事しているような感覚になるという声もお聞きします。
ご相談の企業は、上期の評価を査定に反映させる最終的な評価にどう反映させるかについて悩まれていました。
A案:上期の評価と下期の評価を合算して平均とする
B案:上期の評価は参考に、下期は年間で総合的な評価とする
A案の場合、上期・下期それぞれの評価期間の評価に限定してシンプルに評価し、自動的に最終な評価の結果が出せます。ただ、上期の評価が悪かった場合は、下期にいくら頑張っても最終的な年間の評価が良い評価になることが難しくなります。上期の評価が悪かった場合、下期はあきらめてモチベーションが低下する者もいるかもしれません。
B案の場合、上期の評価が悪かったとしても下期に大きく評価されることがあれば、最終的な年間の評価が良い評価になる可能性もありますので、下期にモチベーションが下がってしまうというリスクは減る可能性があります。ただ、評価者が公平・公正に評価できるようにしなければ他の被評価者から不満が出る可能性があります。
人事評価は人が行うものですので、どこか調整できる余地があった方が運用しやすいのかもしれません。査定よりも評価の回数が多い場合は、B案を採用される企業も多いように見受けられます。
ご相談の企業は当初A案で検討されていましたが、B案を採用されていました。