執筆者

社会保険労務士法人スマイング 
コンサルティンググループ マネージャー 薄田 順矢 が執筆しました。

以前、賃金制度を急ぎ見直したいという企業からご相談があった事例です。給与改定月が近いということが理由のようでしたが、変更したい内容をお聞きすると、年功序列的な制度からパフォーマンスなどが反映される制度への変更になってはいるため運用する分には差し支えない制度だとは考えられましたが、現状の賃金制度からその制度に変更する際には、一部分が不利益変更に該当する可能性が想定される内容の制度でした。

不利益変更が認められるには、労働者側の不利益の程度、会社の事情としての変更の必要性、代替措置・経過措置といった変更内容の相当性、労使での話し合い・合意の状況などの変更の合理性が必要になります。

この企業の変更したい制度の内容としては労働者の不利益の程度も小さいわけではなく、会社の経営悪化といった会社事情としての変更の必要性も無いと考えられます。また、急ぎ導入したいということだと、6月後や1年後に導入するなどといった経過期間や代替措置も取れないことになります。従い、労使での話し合い・合意の状況が重要になることが考えられます。

これらを伝えたところ、不利益にならないような制度で内容を見直してみるか、急ぎ導入せずに経過期間を設けるか、従業員個別に話し合い・合意を実施するかは、再度検討するということになりました。