執筆者
社会保険労務士法人スマイング
コンサルティンググループ マネージャー 薄田 順矢 が執筆しました。
IT業界は、他の業界よりも「フレックスタイム制」と「専門業務型裁量労働制」を導入している企業割合が非常に多い状況です。
令和5年就業条件総合調査 |
情報通信業 |
全企業 |
フレックスタイム制 |
34.4% |
6.8% |
専門業務型裁量労働制 |
19.3% |
2.1% |
先日、スタートアップのIT企業から労働時間制度についてご相談がありました。
労働者にはなるべく自由に働いて欲しいというお考えを持っており、労働者全員が上流SEやシステムコンサルタントに該当するため、専門業務型裁量労働制の適用を検討しておりました。
フレックスタイム制は始業と終業の時刻を労働者に委ねる制度であり、専門業務型裁量労働制は労使協定で定めた労働時間とみなす制度にはなりますので、フレックスタイム制はコアタイムとフレキシブルタイムの設定の仕方によっては、どちらも労働者の労働時間の自由度は高い制度になります。
休日労働の扱い方の違いや、新卒すぐの者には裁量労働制は適用できないということを説明したところ、休日出勤もある程度発生することが見込まれることと新卒採用も検討しているということから、現時点で2つの制度が混在してしまうと管理も煩雑になるため、フレックスタイム制を労働者全員に適用することになりました。
一定の等級以上の適用職種には専門業務型裁量労働制を適用し、それ以外にはフレックスタイム制を適用しているIT企業もありますが、労働者側から不公平感を持たれてしまうというご相談をお聞きすることもあります。
今回ご相談があった企業も、今後は2つの制度を導入する可能性も想定されますが、この企業の現時点のニーズとしては、シンプルでわかりやすく労働時間を管理したいというご意向もあったのではないかと思われます。