執筆者
社会保険労務士法人スマイング
コンサルティンググループ マネージャー 薄田 順矢 が執筆しました。
創業間もない頃から人事評価制度を導入しており、50名を超える規模に急成長したあたりで、創業間もない頃の人事評価制度が合わなくなったため、数年前に人事評価制度を見直したというIT企業から問い合わせがあった事例になります。
創業間もない頃の人事評価制度は、3か月ごとの年4回の評価フローであり、毎回目標設定を3~5個設定していました。急成長する前は人数も少なかったため運用できていたようで、社員の給与もアップしやすく、目標設定もビジネス環境の変化にも対応しやすかったようです。
50名を超える規模に急成長した後では、2つ課題が浮き彫りになったそうです。
1つ目は、被評価者が増えたことによる評価者の負担になります。
3か月ごとに評価も実施していたため、毎月のように評価に関するアクションが発生しており、評価のために働いていると感じている従業員が増えていたようです。
2つ目は、急成長したことによる従業員と会社理念等の結びつきになります。
従業員数が急成長した企業ではよく挙げられる課題になりますが、最近入社した従業員と長く働いている従業員との間で、会社の理念等の浸透度合いが異なっていることで、会社への帰属意識や愛着精神にもギャップが生じていましたようです。
上記の課題から、数年前に、年4回から年2回の評価フローに変更し、目標設定を会社の理念等に関連する目標設定をすることに変更をし、2つの課題を解決できるようにしたそうです。
今回のお問い合わせでは、従業員数も更に拡大し、ビジネスも安定してきたそうで、数年前に変更した会社の理念等に関連する目標設定が課題に挙がっていました。
会社理念等に関連する目標設定を設定すること自体の難易度が高く、会社の業績や個人の成績が評価に反映されにくいということを課題に感じていました。
労務管理上のポイントも「創業/成長期(未整備)」→「拡大/発展期(制度構築・予防)」→「安定/変革期(育成・定着)」と、企業のステージにもよって変わってきます。
人事評価制度も企業のステージにあった制度設計が望ましいと考えます。
「安定/変革期」では、会社の業績や個人成績が反映しやすい制度や決算賞与などを導入する傾向の企業が多いように見受けられます。