執筆者
社会保険労務士法人スマイング
コンサルティンググループ マネージャー 薄田 順矢 が執筆しました。
IT業界のエンジニアはコロナ過でも売り手市場になり、リモートワークの普及により、兼業・副業がしやすい職種になります。社員から会社へのご相談も多いのではないでしょうか?
政府は6月16日、成長戦略を議論する「未来投資会議」を開き、兼業・副業の促進に向けた対応について議論し、兼業・副業の労働時間の管理について、本業の企業は労働者からの自己申告により把握し、通算の労働時間が法定・上限規制の範囲内となるように設定する方針を打ち出しています。
兼業・副業は、新型コロナウイルス感染症と共存する「ウィズコロナ」「ポストコロナ」時代の働き方として期待も高まっている一方、労働時間の管理の難しさから解禁に踏み切る企業は少なく、長時間労働になる可能性も指摘されています。
政府はこうした点を踏まえ、兼業や副業の労働時間は労働者の自己申告制とし、申告に漏れや虚偽があった場合、企業は責任を問われないとする案を示し、兼業・副業を認める条件として、本業と兼業・副業を通算した労働時間が法定労働時間や上限規制の範囲内となるように、本業の企業が兼業・副業に伴う労働時間を設定したり短縮させたりできるという方針も提示し、割増賃金は自社での残業などについてのみ支払うこととしています。
労働基準法は複数の職場で働く人の労働時間は通算すると定めていますが、厚生労働省の検討会は2019年8月、労働時間を通算して把握することは実務的に困難と指摘し、労働者の自己申告制を選択肢の一つに挙げていたが安倍首相は労働政策審議会で早期に結論を出すよう指示しています。
また、複数の職場で働く人の労災を認定する際、全ての労働時間を合算した残業時間を基に判断する改正労災保険法は今国会で可決、成立し。2020年9月1日に施行される見通しになります。
ある調査では、コロナ禍以後で4割以上の人が「副業意欲が高まった」と回答しており、理由1位は、収入増加よりも「知見や視野の拡大(66%)」「スキルや経験の獲得(61%)」とキャリア重視の傾向が挙げられております。
また、秘密情報の漏洩や、働き過ぎの防止などの観点から兼業・副業を申請許可制にすることや、兼業・副業に関する規程を設ける企業もあります。
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