執筆者

社会保険労務士法人スマイング 
コンサルティンググループ マネージャー 薄田 順矢 が執筆しました。

SCSK社が、国内大手IT企業で初めて、副業を届出制で全面解禁する制度を2019年1月から開始しており、同社社員からの注目度も高く、その成否は国内大手IT企業各社の人事戦略に影響を与るかもしれません。

 

同社が導入する副業・兼業制度「スマートワーク・プラス」は、SCSK社の社員が業務時間外に社外の業務に就いて報酬を得る「副業」と、業界を問わず他社で働く人がSCSK社でも働く「兼業」を認める制度になり、特に「副業」の容認によって、人材の育成や、複数のキャリアを並行するパラレルキャリア志向の人材の獲得や引き留めにつなげる狙いがあります。

 

同社人事企画部課長によれば、「社員が会社に無届けで副業するケースが増えると本人だけでなく会社に影響するリスクが大きくなる。副業を制度として設け、きちんと管理すればリスクを最小化できると判断した」「転職する人は今でもいる。そもそも流出リスクを減らすためには『働きたい企業』としての魅力を高める努力が先にあるべきではないか」と述べ、むしろベンチャー企業など柔軟な働き方を選べるIT企業にパラレルキャリア志向の人材が流れてしまうリスクを重く見ています。

 

他社の人材にSCSKで働いてもらう「兼業」については、「当社のアドバイザーとして業界の第一人者に部分的に勤務してもらうの形態を想定し、専門人材を追加で雇いたいという現場の要望の受け皿になると見込んでいます。

 

「スマートワーク・プラス」のポイント

目的・趣旨

・人材育成、イノベーション創出、リソース維持と拡大

・社員と会社の成長のため

事業影響

・会社の事業に悪影響を及ぼさない

・社員には本業に専念する義務がある

届出・許可

・原則届出制だが、同業の場合は許可制

・同業他社でのの場合、上司のみでは却下できないようにする

・客先常駐の社員の場合、常駐先の契約に反する場合は許可しない

健康管理

・副業含めた通産次官に36協定の基準を準用して管理

・社員にが副業での業務時間を申告してもらい、

本来の業務の残業時間と合わせて管理する方針

禁止事項

・誓約書にて会社の名誉、信用、利益、試算など毀損、

営業機密の漏洩、公序良俗に反することなどの禁止

是正・停止命令

・従事する内容が基準に抵触すると会社が判断した場合

上司留意事項

・上司は、副業の内容や頻度を把握し、パフォーマンスの維持や

 健康管理に留意する

・副業の事実を評価に考慮しない

 

副業を認めていない企業には「魅力を感じない」と答えた人は約8割という調査結果もあります。

副業に関する規程を設ける企業もありますので、ルール作りに併せて就業規則を見直されてはいかがでしょうか。

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会社を守り社員も納得の就業規則

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