執筆者
社会保険労務士法人スマイング
コンサルティンググループ マネージャー 薄田 順矢 が執筆しました。
日本のIT業界ではAIやIoTを開発するシステムエンジニアやプログラマーの獲得競争が激化しており、経済産業省の調査によれば2020年に約37万人、30年には約79万人の人材が不足すると予測され、海外展開する新興企業などが積極的に人材採用や社内環境の国際化を進めています。
LINE社のサービス開発担当役員は、東京、福岡に続く国内の3拠点目を京都にした理由の一つに「外国人の知名度が高い」点を挙げており、募集要件から日本語をなくしたところ、約1000人の応募者のうち外国人が8割を占め、現在20人のエンジニアのうち13人が外国人で社内公用語は自然と英語になったそうです。
メルカリ社では、10月にインド国籍の33人を含む40人強が入社予定であり、会長自らが4月にインドを訪れ、採用が決まった学生やその家族と会い入社を歓迎し、専門チームが異文化研修を開くなど就労環境の国際化に積極的です。
ゴールドマン・サックス証券社のCIOは、「一番優秀な人材は必ずしも日本にいるわけじゃない」と海外からの人材採用に意欲的であり、治安の良さなどから日本勤務の希望者も多く需給も一致しているといいます
ただ、外国人採用に積極的な動きは、日本語能力より専門技術が優先される一部企業にとどまっており、日本政府は高い技能を持つ外国人を家族も含め就労ビザ発給などで優遇しているが、IT関係の認定者は12年から17年末までの累計で約6000人にすぎない状態です。
リクルートワークス研究所の主任研究員は、国内ではまだ日本語が唯一の社内言語という企業が大半で、外国人とのコミュニケーションに不慣れな社員が多く、迎え入れる際には「ルールを明文化することはもちろん、外国人社員が企業にネガティブな印象を持つことにならないような配慮が必要」であり、外国人が日本で生活しやすい社会インフラ整備の必要性を指摘しています。
働き方改革の9分野の方向性のなかには「外国人材の活用」が挙げられていますが、「人材マネジメントが難しい」「優秀な人材が定着しないため、人材採用と育成にコストがかかる」などの課題がよく挙げられていますが、人事制度でいう評価にも文化の違いが現れやすいと言われています。
外国人材の活用を考える際には、評価制度も改めて検討されてはいかがでしょか。
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