執筆者
社会保険労務士法人スマイング
コンサルティンググループ マネージャー 薄田 順矢 が執筆しました。
入社後すぐに転職サイトに登録し、再び就職活動を始める新入社員が急増しています。
大手転職サイトの中には入社1カ月以内のサイト登録者数が10年間で約30倍に増えたところもあり、希望した仕事を任されないことに不満を感じたケースが多いが、定年まで1つの会社に勤めようとする意識の希薄化や就職活動の日程前倒しの影響もあるようです。
転職サイトDODA社によると、入社直後の4月にサイトに登録した新入社員数は実数は公表できないものの2007年の約32倍、若者の再就職支援を行う人材紹介のUZUZ社でも、今春に卒業・就職後に離職して人材登録した人数は5月中旬までで371人、16年卒は151人、17年卒は271人で年々増加しています。
DODA社編集長は「転職希望者は増えているが、退社理由は今も昔も思っていた会社と違う、という新入社員と会社のミスマッチ」「近年の新人は、定年まで同じ会社に勤め上げるという意識が希薄」「売り手市場が続き、年功序列や終身雇用の会社は減っている。我慢して会社に居続けるメリットがないと考える若手が増えている」と説明しています。
明治大就職キャリア支援センターの担当者は「採用選考の解禁が8月から6月に早まったことで、学生は就職先を吟味する時間的余裕がなくなった」「4~5社から内定を得ているが入社先を決められないと相談に来る学生もいる。企業を十分に知る機会や時間が減っているのではないか」と指摘しています。
若手の退職者が急増しているというIT企業のご相談もよく耳にするようになりました。「他社(同業界)と比べて給与が安いから」と退職理由がよく挙げられているようです。
採用選考の解禁時期の問題や、数年前よりも転職に対するハードルは下がっている風潮もありますが、長く会社に勤めるメリットがないため、従来型の年功序列型の人事評価制度や入社後の配属先の業務、会社に愛着を持ってもらう仕組みづくりは、早急に見直す必要があるかもしれません。
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