執筆者

社会保険労務士法人スマイング 
コンサルティンググループ マネージャー 薄田 順矢 が執筆しました。

労働行政研究所が「労働時間等に関する実態調査」の2024年調査結果を公表しています。所定労働時間、所定休日日数、年間総実労働時間、年次有給休暇の取得状況、時間外労働の実態、裁量労働制の導入状況について調査しています。

 

厚生労働省の就業条件総合調査によれば、IT業界は専門業務型裁量労働制の導入状況が他の業界と比較すると相当高い状況になりますので、裁量労働制の導入状況をご紹介いたします。

専門業務型裁量労働制

情報通信業

全企業

令和5

19.3%

2.1%

令和4

21.0%

2.2%

令和3

16.5%

2.0%

 

裁量労働制の導入状況は「導入していない」が89.9%と大半を占める一方で、導入している場合は、専門業務型が8.6%、企画業務型が5.7%、どちらも導入が4.3%となっていました。

 

1日のみなし労働時間は7時間台が最も多く、専門業務型で35.0%、企画業務型で54.5%となっています。協定時間の平均を見ると、専門業務型が8.5時間、企画業務型が7.9時間となっています。

 

導入企業が講じる健康・福祉確保措置については「一定の労働時間を超える対象労働者への医師の面接指導」(71.4%)が最も多く、順に「健康診断の実施」(64.9%)、「産業医による助言・指導または対象労働者に産業医等による保健指導を受けさせること」(64.3%)となっていました。

 

1日8時間を超える時間をみなし労働時間として協定した場合、裁量労働制を導入した場合の実務上の注意点があります。仮に、19時間とみなして、固定残業手当が20時間分に設定していたとします。休日労働や欠勤等が無い前提ですが、給与計算期間内の労働日数が21日あった場合、実労働時間に関わらず11時間分の割増賃金が発生していることになりますので、固定残業手当の20時間分に追加して、1時間分の割増賃金の支払いが必要になります。

 

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