執筆者
社会保険労務士法人スマイング
コンサルティンググループ マネージャー 薄田 順矢 が執筆しました。
創業約60年の企業から、人事管理システムの導入をしたいというご相談があった事例になります。
現在は、Excelをベースとした評価シートを印刷して各社員に配布し、それを評価者が承認印とコメントを手書きで記載をし、評価フローを進めるといった運用をしているとのことでしたが、紙への承認印が必須にされている企業は、こういった企業も多かったのではないでしょうか。
コロナ禍によってテレワークが導入されたこともあり、こういった紙での運用を続けていると今まで以上に評価フローに時間がかかり、評価シートの紙での管理にも時間がかかっているようでした。
また、紙での管理が基本となっていることから、組織変更履歴や過去の個人の評価結果を検索することにも相当な労力がかかっているため、人事評価制度をクラウド上で運用し、人事管理情報も取り込めるシステムを検討されていたようです。
この企業のご相談をお聞きしていくと、労務面やワークフローの課題もお持ちのようでしたので、まずは人事労務監査によち労務面での課題の洗い出しをしたい、というご要望もお持ちでした。
人事評価制度上の課題は、重要度が高く会社への影響も大きいものの、緊急性は低いといったケースが多くありますが、労務面の課題は、経営リスクや従業員から会社への不信感にもつながりますので、重要度も緊急度も高くなる傾向があります。従い、人事評価制度上の課題よりも労務面の課題を優先的に進めることも多くあります。
また、管理監督者性に疑義がある場合や、給与計算方法などに問題があった場合は、人事評価制度と一体的に見直しをして対応するケースも多くあります。
なぜなら、管理監督者が一般社員と年収ベースで逆転現象が起きないように等級ごとの給与テーブルや役職手当の金額の見直し、職務権限や等級定義も見直す必要出てきます。また、給与計算方法などに問題がある場合も、割増賃金の算定基礎や手当の検討など、賃金制度全体の見直しや必要になってきます。
この企業の場合も、労務面・ワークフローの課題を優先し、並行して人事制度の運用の見直しを行うことになりました。
また、規程を中心にした人事評価制度の運用をしておりましたので、規程の改定も必須でした。
ご参考までに、人事評価制度は大きく3つの制度から構成されており、各制度の変更に伴い、規程の改定が必要になる場合もあります。制度と連動する主な規程は下記になります。
等級制度:職務権限規程
賃金制度:賃金規程
評価制度:人事考課規程