執筆者

社会保険労務士法人スマイング 
コンサルティンググループ マネージャー 薄田 順矢 が執筆しました。

24785540_s創業して約10年程度で200名規模になったSES企業の事例になります。

創業してから人事評価制度は導入せずに、創業者が社員一人ひとりと面談をして人事評価をしているという会社でした。

全社員の面談記録を一人ひとりファイルで残しており、面談記録も活用しながら200名全員と面談を行うと半年はかかってしまうそうです。年1回の査定のタイミングも当然遅れることになりますが、社員にとっては、創業者に直接日頃の頑張りや成長をアピールできますので、不満はなく、満足度やモチベーションにつながっているように見受けられました。

創業者は、半年かけて200名面談することが、社員の満足度等につながっていることを感じていましたが、体力的・時間的に厳しいという事と、自分に万が一があった場合、今の面談の仕組みを後継者が引き継ぐことが想定できなかったようで、人事評価制度を導入することを決意されたようでした。

このIT企業は、今まで無かった等級や賃金体系を制度化し、今まで創業者が行っていた面談の良かったところをなるべく踏襲した制度作りを意識して、リーダークラス・部長クラスとの面談や教育訓練にも重きを置いた評価方法を採用することになりました。

上記企業とは別の300名規模のIT企業では、人事評価の結果に納得いかない場合は、1回限り、経営者に直談判できるという制度を導入していた企業もありました。

人事評価制度の本来の目的は、公正な処遇・査定ではなく、現場でのコミュニケーションを強化し、モチベ―ションアップや社員の成長につなげていくことになります。

経営者面談では、直属の上司には聞きづらいことや話しづらいことを話せるような場合もあります。

経営者にとっても、現場で起きていることなどの意見を直接聞くことができるいい機会にもなります。

テレワークが普及し、現場でのコミュニケーションに課題がある企業も多いため、経営者面談を人事制度に取り込むのも一考かもしれません。