執筆者
社会保険労務士法人スマイング
コンサルティンググループ マネージャー 薄田 順矢 が執筆しました。
デジタルデータソリューション社による、社内不正の被害を経験した企業を対象にした社内不正と情報持ち出しの被害に関する実態調査の結果によると、退職者による情報の持ち出しが1年で最も多いのは4月だった。
まず回答企業が経験した社内不正被害の内訳は、「退職者による情報の持ち出し」(44%)で最も多く、次いで「労働問題」(18%)、「横領・リベート(16%)」、「証拠隠滅」(9%)などとなり、「退職者による情報の持ち出し」が発覚した月別の状況では、4月が16件で最も多く、5月と9月(ともに14件)、6月(13件)の順に多くなります。
情報の持ち出し対策の1つとされるUSBメモリーなどの外部接続媒体の利用制限については、回答企業の82%が制限をしておらず、制限をしているのは18%となります。
社内不正に気付いたきっかけは、「社内データの削除」(55%)で最も多く、次いで「社内の不正な金銭の動き」(9%)、「ほかの社員からの報告」(6%)となります。
同社は、退職者による内部不正では、処遇に不満を持つ従業員が営業秘密などを持ち出して競合他社へ転職するケースなどがあり、4月は人の入れ替わりも発生するため特に注意が必要だと解説しています。
情報処理推進機構(IPA)の「企業における営業秘密管理に関する実態調査2020」報告書でも、漏洩ルートの多くが中途退職者であり、内部不正による漏洩割合は増加していることが明らかになっています。
情報漏洩対策を従業員に周知するとともに、テレワークに関する規程も周知し、心理的な抑制効果を図ることも一考です。