執筆者
社会保険労務士法人スマイング
コンサルティンググループ マネージャー 薄田 順矢 が執筆しました。
中小企業では2021年4月から施工される同一労働同一賃金を目前に、企業の「パートタイム」「有期雇用」の労働者に対する雇用管理の状況がどのようになっているのか、また、今後の対応の動向を明らかにするため、労働政策研究・研修機構により「パートタイム」や「有期雇用」の労働者の活用状況等に関する調査がされました。
企業側の調査では、正社員と非正規社員で業務内容も、責任の程度も同じものが約30%いると回答しております。
正社員・正職員とそれ以外の労働者との間の不合理な待遇差を無くすための取り組みを行ったか尋ねたところ、約33%が「取り組みを行った」、約30%が「取り組みを行う予定がある」としております。
これまでにどのような取り組みを行ったか、また、今後予定する取り組みをそれぞれ尋ねたところ、これまでの取り組みでは「基本的な賃金の水準の引上げ」が約55%と最も高く、今後については「退職金の導入や、退職金の算定方法等の見直し」を約20%の企業が取り組む予定としています。
労働者側の調査では、業務の内容等が同じ正社員と比べて、自分の賃金水準をどう思うか尋ねたところ、賃金水準が自分よりも高かったり、低くても納得している労働者が約40%を占めたが、「正社員より賃金水準が低く、納得していない」とする労働者が約25%にのぼっています。
業務の内容等が同じ正社員にのみ支給・適用されていたり、支給・適用基準が異なっていたりして納得できない制度や待遇があるかどうか尋ねたところ、「賞与」が約37%と最も高く、次いで「定期的な昇給」(約27%)、「退職金」(約23%)となります。
企業に対して待遇差の理由等の説明を求めることができるようになることを示したうえで、企業に待遇差の理由等の説明を求めたいと思うか尋ねたところ、「説明を求めたい」が約37%にのぼり、「必要ない」が約25%、「分からない・考えたことが無い」が約37%となります。
注目したいのは、待遇差について説明を求めたいといった従業員側の回答が約4割ということです。2021年4月に向けて、同一労働同一賃金の対応を進めているIT企業もあれば、何をどうしたらよいかわからないIT企業も多いのではないでしょうか。
同一労働同一賃金の概要および対応手順