執筆者
社会保険労務士法人スマイング
コンサルティンググループ マネージャー 薄田 順矢 が執筆しました。
政府が主導する「働き方改革」において、残業時間の上限規制に関する議論が続いていますが、今後は月45時間、年360時間が原則的な上限になり、労使で合意すれば繁忙月は100時間未満、これを含む年間720時間までの残業が認められる見通しです。
2001年、厚生労働省が脳・心臓疾患の労災認定の基準を作るため、専門家を集め検討会を開き、世界中の医学的根拠に基づく研究結果を総合的に解析した結果、脳・心臓疾患の労災認定基準では、時間外労働が単月で100時間超、2カ月ないし6カ月の平均で80時間超とされています。
最近の60万人を対象とした海外の研究発表では、月60時間の残業以上の人は、脳卒中を発症するリスクが1.33倍になったという報告もあり、1日3~4時間残業する人はうつ病の発症リスクが2倍以上に跳ね上がったというイギリスの調査結果もあります。
こうした「働き方」と健康に関するリスクは様々な調査がされているが、「休み方」に関する調査研究は進んでいない状態です。
もし解明できれば同じ労働時間でも、「休み」を充実させることで生産性が高まり、健康を促進する可能性もあります。
企業リサーチサイトVorkersの調べでは、「残業時間の削減」より「年次有給休暇の取得率」を改善した方が、社員の満足度が向上することはわかっています。
IT企業は業界の構造上、他の業種と比べて未だに長時間労働の傾向にあります。
「休み方」に関する調査研究は進んでいませんが、IT企業は「休み方」を改善するこが、社員の生産性・健康増進につなげやすいかもしれません。
平成29年度は、労働時間等の改善や働き方・休み方の制度導入の支援をする雇用関係助成金もあります。
参考)1日何時間残業すると健康を害するのか
~1日4時間残業でうつ症状が倍に~
http://president.jp/articles/-/22452
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