執筆者

社会保険労務士法人スマイング 
コンサルティンググループ マネージャー 薄田 順矢 が執筆しました。

米LinkedIn社の調査した離職率の業界ランキングによると、最も離職率が高かったのは、テクノロジー(ソフトウェア関係)の13.2%であり、キャリアサービスの米Paysa社の分析によれば、GAFAの平均勤続年数はフェイスブックでも2.02年、グーグルで1.90年、アップルで1.85年、アマゾンで1.84年と極端に短いことが明らかになっています。

 

LinkedIn社による「なぜ従業員が辞めてしまうのか」の調査によれば、最も多い理由が「昇進の機会に関する懸念」(45%)、順に「経営陣に対する不満」(41%)、「職場環境や企業文化への不満」(36%)、「もっとチャレンジングな仕事がやりたい」(36%)、「給与など待遇への不満」(34%)、「仕事ぶりが認めてもらえない」(32%)と続いています。

 

「昇進の機会に関する懸念」には、メンター制度、経営陣との意思疎通、多様性推進プログラムの実行、多角的なパフォーマンス評価、リアルタイムのフィードバック、キャリア行程表の作成などによる社員の統合が有効とされます。

 

「経営陣に対する不満」「職場環境や企業文化への不満」に対しては、社員の声を傾聴して経営に吸い上げる仕組み作り、企業文化をより開放的なものに作り替える作業、職種変更がしやすい制度などが有効です。

 

グーグル社は、非白人の離職率が高いため、彼らをつなぎとめるためリテンション専門管理職を置き、トレーニングなど適切な社内資源を紹介し、安心できる社内コミュニティ作り、上司からのフィードバックやメンター制度の強化も掲げています。

 

 アマゾン社は、配送センター従業員に対して、毎年1回、1人当たり最高5000ドルで「辞めてくれないか」と持ちかけることで、 職場に合わない者は辞めてゆくし、退職しない者も、このオファーを断ることで「自分はアマゾンに残るのだ」と、会社に対する心理的なコミットメントが高めています。

 

フェイスブック社は、従業員がまだ生かしていない長所を発揮できるような働きかけを行うことを心がけており、キャリア成長の機会を与え、できるだけ柔軟な働き方を模索し、降格や昇格なしの職種替えという技を使ってでも引き留めを図っています。

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今日いる社員が明日出社するとは限りません。今日いる社員全員を、毎日毎日採用していると考えみてください。リテンション施策は、採用活動よりも重要です。

 

人材育成から定着率向上につながる人事評価制度

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