執筆者
社会保険労務士法人スマイング
コンサルティンググループ マネージャー 薄田 順矢 が執筆しました。
IT人材を筆頭にした人手不足から、転職で賃金が上がる人の割合が、若手人材を中心に増えています。
厚生労働省の調査では1998年以降、転職で賃金が下がる人の割合が上がる人を上回る傾向が続き、リクルートキャリア社による転職支援サービスを使った転職者の分析で、転職前から賃金が1割以上増加した人の割合は、調査公表以来、過去最高を更新しています。
職種別ではIT系エンジニアが前年同期比4.3ポイント上昇の31.2%と最も高く、機械・電気・化学エンジニア、営業職と次いで、賃金が明確に増加しています。
ITエンジニアの上昇率が高い理由は、リーマンショック後はIT業界への転職が多かったのが、近年はIT業界に加えてメーカーやコンサルティング業界など、新たにIT人材を求めるようになった業界には、給与水準が比較的高い企業もあり、転職後の賃金上昇につながっていることが背景にあります。
リクルートキャリ経営統括室の高田氏は以下の分析をしています。
「転職で賃金アップの傾向は今後も続くのではないか」「背景となっている現状の人手不足は、景気循環、人口動態、産業構造の変化(デジタル化によるIT人材の逼迫)という軸がある。たとえ景気が悪くなったとしても、社会構造として、とくにIT人材へのニーズは続くだろう」
優秀なエンジニアに高給を保証し、人材確保と企業としての技術力向上につとめるIT企業も出てきています。転職することで処遇が向上するのであれば、評価や処遇への反映がしていない企業ほど、優秀な若手のITエンジニアの離職につながるかもしれません。
人事評価制度の見直しを見直してはいかがでしょうか。
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